DVDやBlu-rayのコンテンツをSDカードに変換して、スマートフォンやタブレットで視聴したい、と言う声をよく聞くが、これって実現可能なのだろうか・・・・・・・・?
① 技術的には可能ではあるが、第三者に提供(有償・無償に関わらず)する目的でこれを可能とするツール(アプリソフトなど)を製造したものは法的には処罰される。(著作権法違反)
② また自ら開発・製造しなくとも、これらのツールを用いて変換したコンテンツを第三者に提供(有償・無償に関わらず)したものも同様に処罰される。(著作権法違反) この場合それら著作物の著作権を他人が有する場合であることは無論である。
③ 唯一の例外が有る。 それはテレビ番組を録画する場合である。 最近の番組録画はほとんどがハードディスクに録画される。 一度録画されたテレビ番組は9回のダビング(Copy)と1回のMoveが許される。 その時のダビング(Copy)もしくはMoveの対象メディアはDVD・Blu-ray・SDカードと言うことになる。
・・・・・・・と言うことで、このテレビの録画番組をSDカードに変換する場合に絞って表記のテーマを考えてみたい。
既にご承知の方も多いと思われるが、録画番組をSDカードに持ち出す方法は実現されている。SD-Video規格とか、最近ではSeeQVault規格などである。 ただしこれは主に録画装置のハードディスクに保存した番組をSDカードにCopyするなりMoveする場合の話である。 そしてこの場合SD-Videoは標準画質のCopyであり、SeeQVaultの場合はハイビジョン画質のMoveで行われる事はご承知の通りである。 今回はそうではなくて、表題にある通りDVDからSDカードに変換する、つまりDVDからSDカードを作る方法について考えてみたいと思う。
ご承知の通り映画などの市販のタイトルはDVDで販売されているが、このときのDVDはDVD-ROMと言うものになっている。 DVD-ROMとは「読み出し専用DVD」の意であり、DVD-Rとは「書き込み可能DVD」、そしてDVD-RWとは「再書き込み可能DVD」の事である。 今回のテーマについて結論から先に言えば、DVDからSDカードを作る可能性の有るDVDとはDVD-RWと言うことである。 皆さんが最も期待しているDVD-ROMからSDカードを作るという話は(残念ながら)無い。
映画に限らず放送番組にも当然著作権は存在する。 但し放送と言う特殊性から番組をタイムシフトさせて視聴したいと言う要望が高く、この視聴者の要望にこたえる形で考え出されたのが「9回のCopy+1回のMove」(いわゆるダビング10)という考え方である。 9回までのCopyと言うのは文字通り10回目のCopyは不可と言うことであるが、1回のMoveと言うのは正確には1つの番組コンテンツに関してMoveさせる権利が(視聴者に)1権利有ると言うことで、Moveという動作を1回しかできないと言う意味ではない。 Moveとはその名の通り或る機器から別の機器へ番組コンテンツを移動させる事なので、移動の回数に制限が有るわけではない。
「9回のCopy+1回のMove」とか言っても、それを何時、誰が、何処で管理しているのか、という素朴な疑問を持たれる方も居られるだろう。 これらは或る種の著作権管理技術(DRM)によって管理されている。 簡単に言えば、録画装置内の各番組には「9」という数値が予め登録されており、装置から1回Copyされる毎にその数値から「1」を引いてゆき、数値が「0」になればそれ以上Copyをさせないと言うことである。 言うまでもないが、CopyしたものからCopyを作るのは不可である。 またMoveの場合も同様で、装置内の各番組には「印」があり、この装置から別のメディアに番組コンテンツがMoveされるとその「印」が消える仕組みになっている。 その「印」が無いと録画装置はその番組の再生を行わないと言う訳である。 つまりMoveとは本当に番組コンテンツが移動するのでなく、視聴する権利が移動すると言うことである。 従ってMoveとは原則的にいえば、番組コンテンツを次から次へと別のメディアや装置に無限回移すことも出来るし、また元の装置に戻すことも可能と言うことになる。
ここで話が先ほどのDVD-RW(再書き込み可能なDVD)に戻る。 このように番組コンテンツのMoveは視聴する権利とも言うべき或る「印」のやり取りが必要となる。 これをDVDと言うメディアを使って実現させるためにはDVD-ROMやDVD-RではなくDVD-RWでなければならない事になる。 DVD-RWであれば、視聴する権利である「印」を書いたり消したりほぼ無限に繰り返すことが出来ると言う訳である。 無論これら「印」の書き込み・消し込みを行うのは録画装置などの機器であるが、これらの装置は先にふれた或る種の著作権管理技術(DRM)に準拠したもので、そのDRMの規約に基づいて機能する事でこれらの事が可能となるわけである。 当然のことながらこれらの規約に準拠していない装置では、録画する事も、それをCopyしたりMoveすることが不可能である。そもそも再生そのものが不可能になっている。
今回のテーマであるが、録画した番組をDVDに書き出す場合、ダビング即ちCopyした場合はそこから先の展開は不可能である。 そうではなくDVD-RWにMoveした場合は、そこからダビング=CopyすることもMoveすることも可能である。 つまりDVDからSDを作ると言った場合、唯一の現実的な方法はDVD-RWにMoveした番組コンテンツをSDに更にダビング=Copyするということを意味する。 これは詰まるところ「録画番組をSDカードに持ち出す」機能を持っているDiga等では既に実現されてサービスに供されているものと同じと言うことになる。 何やら話が振り出しに戻ってしまった様な気がする次第である。