SDカードの話 第1話:メモリーカードの歴史(1)

昔々コンピューターには主記憶装置と補助記憶装置(外部記憶装置とも言う)とが有りました。 これまで外部記憶装置には様々なものが登場しかつ姿を消してきましたが、ある時期から登場して未だにその第一線で活躍しているものにHDD即ちハードディスクがあります。 外部記憶装置の歴史とは即ち大容量化と小型化及びアクセス速度の向上の歴史そのものなのですが、このHDDは外部記憶装置の歴史の比較的早い段階から登場していながら、これらの時代の要請に応えつつ未だに存在し続けているということは驚嘆かつ敬服すべき事ではあります。 何故なら、外部記憶装置にはHDDよりも後発で登場したにもかかわらず、時代の流れの中で役目を終えて退場したものや、今やその役目を終えて退場しつつある記憶装置が数多あるにも関わらず、HDDだけは時代が求める大容量化、小型化、高速化に着実に対応し、未だに外部記憶装置の主役の地位を堅持している優等生なのです。

 

ところで、冒頭で「昔々の・・・」という言い方をしましたが、最近ではこの主記憶装置と外部記憶装置の区分けがどうも曖昧になりつつあります。 何故ならば当時の認識では、主記憶装置とはRAMを、そして補助記憶装置とは駆動装置を必要とする記憶媒体を意味していたのですが、この頃では補助記憶装置にも必ずしも駆動装置を必要としないメモリーが使われ出しているからです。 SSD(Solidd State Drive)と呼ばれるものがそれで、HDDに比べてまだ高額ではありますが、駆動装置を必要としないので、小型化=ポータブル化と言う点ではHDDに勝るものといえます。 それもそのはず、SSDとは「Drive」と名が付いていますが、フラッシュメモリーそのものなのです。 つまり現在のUSBメモリーやSDカードと何ら変わるものではありません。 つまりこのフラッシュメモリーの登場辺りから、「コンピューターには主記憶装置と補助記憶装置があって・・・」と言う話が通じなくなて来たのです。

 

補助記憶装置としてメモリーカードが登場してきたのはまだ15年~20年ほど前だと思いますが、その記憶容量は数MByte単位のもので、とてもHDDの代替品やCDやDVDの代替品と言えるものではありませんでした。 しかもまだ統一規格が存在しないために、CompactFlash(SanDisk)、SmartMedia(東芝)、MMC(Siemens他)、xDピクチャカード(オリンパス/富士写真)、MemoryStick(Sony)と行った製品が次々に市場に投入されました。 それがいつの頃からかSDメモリーカード(SanDisk/Toshiba/Panasonic)に収斂され、最後まで孤軍奮闘していたMemoryStick(Sony)も数年前にその軍門に下ったと記憶しています。 なにしろその頃急激に登場した携帯電話に採用された影響が大きかったのではないでしょうか。 携帯に続いてデジカメでも一律に採用されるようになったことが決定的だったと思います。

 

このように今やメモリーカードと言えばSDメモリーを意味する程になりましたが、同じようにフラッシュメモリーを用いた製品にUSBメモリーが有ります。 USBとはUniversal Serial Busの略で、その名の通りインターフェース規格です。 当時は同様の規格でFirewire(もしくはIEEE1394)というものが存在し、Busの転送速度としてはこちらの方が優勢だったのですが、ライセンス料等の問題でUSBが市場の支持を得て、生き残ったということのようです。 このUSBにはUSB Mass Storage Classという、HDD等をリムーバブルドライブ(いわゆる外付けHDD)として認識するための規格があり、USBが市場の支持を得た結果様々なOSがこの規格をサポートする様になりました。 その結果としてUSBインターフェースを持ったメモリー(即ちUSBメモリー)が爆発的に普及する事になったのです。

(第2話に続く)