テレビの録画番組をスマホで持ち出して見る方法

録画したテレビの番組をスマートフォンやタブレット端末で持ち出して視聴する場合の一番手軽な方法をご紹介する。

1、まず録画・再生装置に録画された番組をSDカードに書き出す必要がある。この機能はメーカーに依って様々な名称が付けられている。パナソニックでは「番組持ち出し」、シャープでは「高画質番組持ち歩き」、ソニーでは「お出かけ転送」、スカパー!では「持ち出し視聴」等である。残念ながらこの機能は現在発売中の録画・再生機ではサポートされていない。凡そ2010年から2014年の間に発売された機器の多くにこの機能が提供されているもので、筆者の推計では1,000万台を下らない数の装置が国内に出回っているものと思われる。この時期はちょうどテレビ放送がアナログ方式からデジタル方式への切り換えが行われた時期なので、途方もない数の録画再生装置が市場に出回った事になる。家電の場合買い替えはせいぜい早くて5年遅ければ10年以上掛かると思われるので、この機能を搭載したものがしばらくは日本の家庭に存在し続ける事になる。    →持ち出し機能を搭載した録画再生装置

2、装置メーカー各社によって異なる名称で呼ばれるこの録画持ち出し機能であるが、実は共通の技術規格に準拠したものである。SD-Video規格と言ってSDカードに動画を書き込む場合の国際標準規格である。ご承知のようにSDカードはデータの保存媒体であり、動画に限らずどんなデジタルデータでも自由な形式で保存する事が出来る。ただし番組録画の場合は著作権の保護が必要になるので、メーカー各社の録画装置には各社の独自な著作権保護機能が使われている。SD-Video規格とはその著作権保護機能も含めた形での規格を標準規格として策定しメーカ各社に公開しているものである。そうする事で、言わば各メーカーが独自の方式で録画した番組がSDカードに持ち出される場合には標準規格に準拠した形式を持つことになり、メーカーを横断した再生が保証される事になる訳である。

3、このSD-Video規格は著作権保護のための管理機能=DRMにCPRMという方式を採用している。このCPRM(Contents Protection for Recordable Media)はテレビの録画の際の暗号方式にも採用され、またDVDの暗号方式の補強用にも利用されているものである。更にまたSD-Videoには2種類の方式=Profileが存在する。1つは①ISDB-T Mobile Video Profile、もう一つは②264 Mobile Video Profileである。①は我が国のワンセグ放送の録画のために定められた放送規格の一種である。したがってワンセグ放送をサポートしている携帯やスマホにはこの機能が搭載されている。つまりワンセグ端末はSD-Video規格で書き出された録画番組を再生する機能を持っているという事である。但し、ワンセグ放送をご覧になった方はおわかりの様にその画面解像度はQVGAという小さなサイズで、ハイビジョン映像を見なれた目にはいささか辛いものがある。

4、一方の②264 Mobile Video Profile(以後H.264mvpと略す)であるが、規格上はワンセグ画面のタテxヨコが夫々2倍のVGA(つまりQVGAの4倍)サイズからQHD(ハイビジョンサイズの1/4で通常のDVDより高画質)となっており、モバイル機器で動画を見る分には全く申し分ない画質が可能である。ところが何と悲しい事にこの規格をサポートしているモバイル機器が誠に少なく、せいぜい先のワンセグの録画規格をサポートしているモバイル機器の一部がおまけの拡張機能としてこの機能を搭載しているという状態である。しかもどのモバイル機種がこの機能をサポートしているかと言う情報が、ユーザーに分かりやすい状態で開示されてこなかった。その結果せいぜいSD-Videoとはワンセグの録画規格で、小さな画面解像度でSDカードに書き出すもの、という程度の認識しか持たれてこなかったと言える。そうこうしているうちにテレビの録画・再生装置は我が国のほとんどの家庭に普及し、今や飽和状態を迎えている。そのため大手家電メーカーは新たな需要を喚起するための新たな仕掛け(ハイビジョンの上をゆく4Kや新しい録画方式など)造りに走り出して、既に購入済のユーザーの事など記憶の彼方と言う訳である。

5、そんなわけでせっかく録画番組をSDカードに書き出しても、肝心の持ち出せるモバイル機器がどれなのか分からない状態がこれまで続いてきたが、やっとその問題が解決されることになった。NMリ‐ダ‐はUSB端子を搭載するAndroid系モバイル機器(いわゆるスマホやタブレットなどのスマートデバイスと呼ばれるもの)で動作するSDカードリーダーであるが、よく見かける単なるカードリーダーではなくて先のSD-Video規格に準拠したカードリーダーなのである。つまり著作権保護されているテレビ番組を再生する事が出来るカードリーダーである。いまやワンセグ機能が有ろうが無かろうがSDカードスロットが搭載されているか否かに関係なくSDカードから録画番組を再生する事が出来るようになったわけである。   →詳しくはこちら

 

6、このNMリ‐ダ‐の最初の製品はAndroid系機器で動作する。実はWindowsパソコンでも使えるが、対応する動画プレーヤーがWindows版は未だなので(開発中)、この場合は単なるSDカードリーダーとしてしか機能しない。但し気を付けなければならない事が有る。それはUSB端子を搭載したモバイル機器にはUSBのホスト機能を持ったものと(ホスト機能を持たずに)デバイス機能しか持っていないものとが有ることである。このNMリ‐ダ‐はAndroid端末から見ればデバイスとなるので、端末側にホスト機能持っていないものでは認識する事が出来ない。つまりUSBホスト機能を持たないAndroid端末では動作しないと言うことである。   →動作検証済み再生機器一覧